破れぬ誓い




「いい人だな。」


涙を堪えて歩いていると不意に横から声が聞こえた。

振り向くと近藤さんが優しく笑って立っていた。


「近…藤さん。」

「お華さん、だっけな。いい人だよ。」

「えぇ。」

「あの人の為にも死んじゃいけねぇな。」


近藤さんはフッと笑って歩き出した。

アタシはその後ろを歩き出す。


「…っぐ…ぇ……ふぇ…っ。」


零れる嗚咽。

こんなにもお華さんと離れるのが辛くて苦しいのか知らなかった。

自分で選んだ道のはずなのにまだ覚悟ができていないのか。


お華さん…帰ってくるよ。



近藤さんは後ろを振り向かずただ、泣いていて足下のおぼつかないアタシに合わせてゆっくりと道を歩く。


その後ろをぴったりとくっついてアタシは歩く。


もう、振り向かない。


振り向いたらきっと帰りたくなる。


そんなのは許されない。



もう、決めたこと。




アタシは新選組としてこれからを生きる。





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