破れぬ誓い
「驚いたのが歳三がよぅ。」
「近藤さん!」
「歳三がお前のそばを離れなかったんだよ。」
は?
「仕事に集中してるかと思えば手は全く動いてないし、なんだかんだ用事つけてはここに来るしなぁ。」
「近藤さん!」
思わずアタシが土方さんを見ると土方さんは目をそらす。
「俺は、仕事に行く。総司てめぇもだ。」
「えぇ!?」
「いいから来い!」
まるで照れ隠しのように土方さんは荒々しく出て行った。
総司は引きずられてもなお「また来るからな。」と言っていた。
「ははっ。歳三は嘘が下手だ。」
「嘘?」
「いや、こっちの話だ。」
近藤さんが優しく笑った。
なんだか暖かくて優しい笑い。
お父さんみたいだった。
「おと…さん。」
「ん?」
「なんでもないです。」
「どうした?言ってみろ。」
優しく包み込むよな近藤さん。
アタシは全てを近藤さんに包まれた気がした。
「夢を…夢をみたんです。」
「夢?」
「両親がでてきたんです。アタシを気遣う言葉をかけて、消えていきました。」
近藤さんはなんともいえなさそうな顔をしている。