破れぬ誓い



「只今帰った。」


近藤さんは草履を脱いで屯所の中に上がり込んだ。


アタシも屯所の中に上がり込んだが誰にも会わない。


静まり返った屯所。


新選組には多くの隊士がいると聞いていた割には静かすぎる。

どうしたのだろう?





「……近藤さん?」


奥の方で声が聞こえた。


「おぉ、お前か。」


と近藤さんは嬉しそうな声を上げて声のする方に近寄っていった。

「遥もおいで。」と近藤さんはアタシを引っ張って連れていく。



「只今戻った。」


近藤さんが挨拶したのは2人の男。

1人は凛々しい顔立ちでアタシを見てもニコリとしない、少し無愛想な印象の男。

もう1人はとても爽やかな印象で美青年と言っても過言ではないくらいの男だった。



「近藤さん、そいつは?」


無愛想な方がアタシを怪訝そうな顔で見る。


「まさか、その子が…。」


美青年は苦笑いをする。


「あぁ、そうだ。この子が俺の探しに行った子だ。」



近藤さんは胸を張って言う。

2人の男は顔を引きつらせ、「本当か?」と口々に言う。


「あぁ、本当だ。遥、自己紹介を。」


「辻村 遥です。」



アタシが自己紹介をすると二人の男の顔が余計に引きつる。






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