破れぬ誓い



とりあえずアタシは総司のいるところまで行くことにした。

部屋を出て少し離れたところに総司はいた。


誰もいない。

いるのは総司だけ。



「総司。」

「こほっ…ぁ、遥無事だったんだな、よかった…。」


と、少し咳をしながら弱々しく総司は笑いかけた。


「うん。…大丈夫?」

「あ?あぁ、大丈夫。もう大丈夫だよ。」

「大丈夫じゃないよね。血…吐いてたよ…。」

「んぁーアレは口ん中切れたんだよ。」


嘘。

口の中が切れたくらいじゃあんなに血は出ないよ。


「口の横に血、いっぱいついてるよ。口切ったくらいじゃそんなにならないよ。」

「はは…遥には隠し事できねぇなぁ。」


ヘラっと笑う総司。

その顔は少し青白くて生気がないように見えた。






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