破れぬ誓い



「わぁ……!!」


ついたのは月の綺麗な場所。

邪魔するものが何もなく見えるのは綺麗な月と星だけ。


「気に入ったか?」

「はい!とっても!」

「俺の場所だ。」

「土方さんでもこんなところに来るんですか……?」

「悪ィかよ。」


心外だというような顔で土方さんはアタシを小突く。


「悪くはないですけど、以外だなぁと。」

「……総司と来たんだよ。」



「総司と戦いが終わった後にな、怪我して倒れ込んだんだよ。そうしたら、この綺麗な月夜が見えたんだ。」


土方さんが怪我で倒れる。

なんか意外。


「今はもう来なくなっちまったが、昔はよく来てたもんだ。
副長になるとき、戦う前の晩。大事な決断を下すときは此処に来ていた。」

「大事な決断…。」

「あぁ、静粛だって本当は気が進まねぇんだ。
けど、やらなきゃいけねぇときがある。そんな時ぁここに来て考えるんだよ。」

「へぇ…。」


土方さんの意外な面。

決断することをそんなにも悩んでいたなんて、
そんなにも苦しんでいたときがあったなんて思いもしなかった。


「今日もなにか迷っているんですか?」

「そうかもしれないが、あー、どうなんだろうな。」

「意味わかりませんよ。」


なんてアタシが笑うと土方さんは優しく微笑む。

月明かりに照らされたその笑顔は綺麗だった。






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