破れぬ誓い



「どうした?顔が紅ぇな。」

「べっ、別に!」

「お前は面白いな。」

「面白い?」

「あぁ、人間らしい。新選組に入ると大概の奴が人間味を失う。
どこか人間っぽくなくなっちまうんだよ。」


「俺もそうだ。」と自嘲の笑いを浮かべる。


「けど、お前は違った。まぁ最初は人間味なんて大して感じなかったがな。」

「え、そんな感じでした?」

「俺の刀を手で受け止めるなんざぁ正気の沙汰じゃねぇわな。」


押し殺したように笑う土方さん。

思い出してみればあれはするべきじゃなかった…。



「けど、殺すことに悩んでいるお前を見てると昔の俺を思い出したんだ。
そしたら、いかに今の俺が冷たくなったかを思い知らされた。」



「お前が羨ましかった。どんどん人間味を増していくお前が。
総司もそうだったんだろう。」


羨ましい?

アタシが?





< 225 / 333 >

この作品をシェア

pagetop