破れぬ誓い
「けど、自分を追い込んでいくお前を見ると苦しくなった。その傷…。」
土方さんはアタシの腕や掌の傷をなぞる。
「これを見るたび辛くなるんだよ。お前が傷ついていくのを見るのが辛くなる。」
「これはアタシの不甲斐なさでついた傷です。気にする事なんてないですよ。」
「お前を傷つけたくなかった。」
「最近、お前は戦いにでなかったろ?実は近藤さんが言ったんだ。
“遥をもう戦わせない”ってな。」
「近藤さんが?」
「あぁ、娘のように大切なお前を傷つけたくなかったんだろう。」
「俺もそれに賛成した。」
「土方さん?」
「もう、戦わせたくなくて、心も傷ついていくお前を見たくなくてな。」
土方さんにそんなことを言われると苦しくなる。
期待してしまう。
土方さんがアタシを想ってくれていると。
止めて欲しい、これ以上優しい言葉をかけないで。
「だけど、局中法度がある限りお前は新選組から抜けられねぇ。
それにいつまでも戦いにでないわけにもいかねぇ。」