破れぬ誓い



「けど、自分を追い込んでいくお前を見ると苦しくなった。その傷…。」


土方さんはアタシの腕や掌の傷をなぞる。


「これを見るたび辛くなるんだよ。お前が傷ついていくのを見るのが辛くなる。」

「これはアタシの不甲斐なさでついた傷です。気にする事なんてないですよ。」

「お前を傷つけたくなかった。」




「最近、お前は戦いにでなかったろ?実は近藤さんが言ったんだ。
“遥をもう戦わせない”ってな。」

「近藤さんが?」

「あぁ、娘のように大切なお前を傷つけたくなかったんだろう。」




「俺もそれに賛成した。」

「土方さん?」

「もう、戦わせたくなくて、心も傷ついていくお前を見たくなくてな。」



土方さんにそんなことを言われると苦しくなる。

期待してしまう。

土方さんがアタシを想ってくれていると。

止めて欲しい、これ以上優しい言葉をかけないで。




「だけど、局中法度がある限りお前は新選組から抜けられねぇ。
それにいつまでも戦いにでないわけにもいかねぇ。」






< 226 / 333 >

この作品をシェア

pagetop