破れぬ誓い
「照れるなぁ。」
「アタシだって照れますよ。」
「遥は俺の娘みたいに感じてな。」
「アタシも近藤さんがお父さん見たいに感じます。」
「嬉しいこと言ってくれるな。遥、お前は俺の娘のようになってくれるか?」
「近藤さんが娘のように大切にしてくれるんです、もうなってます。」
「遥の父上に怒られるかな。」
「いいえ、きっと“大切にしてくれてありがとう”って言ってくれます。」
「そうか。」
「じゃぁ行ってくる。」
近藤さんはアタシの髪をクシャクシャにして出ていった。
痛かったけどどこか優しいその手。
近藤さんの目が少し寂しそうだったのはどうしてだろう。
ずっとずっと近藤さんの小さくなる背中を見ていた。
遠くに行ってしまったお父さんを重ねて。
これが近藤さんとの最後の会話になるとは想いもしなかった。