破れぬ誓い



「遥?」


不意に後ろから声が聞こえた。


「土方さん。」

「何してる?こんなところで。」

「近藤さんに会ったんです。どこか行くみたいでしたけど、知ってますか?」

「近藤さんに?」

「何か隠しているんですか?教えて下さい。」



頭を抱えて土方さんがため息をつく。


「どうしました?」

「仕方ねぇ。お前だけに話してやる。来い。」



土方さんの顔が少し曇ったのをアタシは見逃さなかった。

嫌な予感が胸をよぎる。









「座れ。」


副長室に呼ばれたアタシは怖くてしょうがなかった。



「お前、大政奉還を知っているか?」

「大政…奉還?」

「あぁ、やっぱり知らねぇか。お前だけだぞ。」

「なっ!時代遅れとでも!?」

「確かにそうかもしれねぇ。」






「大政奉還で幕府が朝廷に執権を戻した。」







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