破れぬ誓い




「近藤さんは……近藤さんはな。」



「新政府軍に捕らえられた。」




嘘だ。

嘘だよ、さっきは旅の仕度だったから。

捕らえられていないよ、帰ってくるよ。

お父さんってまた呼んであげるんだから。

近藤さんはアタシのお父さんなんだから。



「嘘ですよね。」


曇ったままの土方さんの顔が現実をアタシに突きつける。


「現に新政府軍から引き抜きがある。」

「引き抜き?」

「近藤さんは引き抜きについてずっと朝廷に逆らっていた、だから…。」

「近藤さんが?」

「局中法度、仲間、全てを1人で抱え込んでいたんだよ……。」




あの近藤さんの優しい笑顔の後ろにそんなことがあったなんて思いもしなかった。

近藤さん、もう一度会いたい。




「引き抜きは近藤さんが居なくなった今、束になって手紙が押し付けられた。」



「斎藤、永倉、俺とお前の4人だ。」



「アタシも?」

「あぁ、柱となる俺や、各隊長、お前を抜けば新撰組が崩れるからな。」

「そんな。」

「俺は引き抜かれるきはねぇ。遥、お前はどうする?」

「アタシは…。」



そんなの決まってるよ。

決まってる。



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