破れぬ誓い



「行くぞ。」


静かな土方さんの声が屯所に別れを告げた。

くるりと振り返って歩き出す土方さん。

追いかけるように後ろを歩き出すアタシ。

土方さんは振り返らなかった。

前だけを見て、涙を一滴も流さずだた前を向いていた。




振り返らない。


そんな土方さんの背中を見て誓った。

目の前にあることだけに、これから向かう場所に向いていよう。


何があっても後悔はしない。

自分が選んだ道だから。




歩き出す二つの影は少し伸びていた。

空を見れば少し傾いて紅い太陽がアタシたちを照らしていた。

見上げた土方さんの横顔が夕日で染まっていた。






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