破れぬ誓い
屯所に別れを告げてからどれくらいが経ったのだろう。
とほうもない時間がたっていた気がする。
戦場にいる仲間は大丈夫だろうか。
日に日に焦る気持ちを抑えながら毎日歩き続ける。
土方さんも同じだった。
じっとしていられないらしい。
本当はアタシがいなければ夜も歩き続けただろう。
だけどアタシがいるから毎晩宿に泊まったり野宿をする。
アタシには見せないけれど一刻も早く仲間を合流したいはず。
そんな焦っている土方さんの足を引っ張っているような気がして申し訳なかった。
「土方さん?」
パチパチと音を立てて燃える小枝。
空には上弦の月が輝いていた。
明るい空と正反対の地上。
人目から離れた場所を選んだため灯りは少ししかない。
はじめは怖かったけれどもう慣れた。
「何だ?」
「夜も、歩きますか?」
「何言ってる。さっさと休め。」
「土方さんはいつもそう言って。本当は行きたいんでしょ?」
「そんなこと…。」
「行きましょう?アタシ、土方さんの足を引っ張りたくない。」
じっと土方さんはアタシを見つめた。
すっと、腕が伸びてきてアタシの頭に触れる。
久しぶりに土方さんの手に触れられた。
どこか嬉しくて、切ない。