破れぬ誓い



「ひ、土方さん。」


沸き立つ興奮。

血が騒ぐ。

あんなにも人を殺すことを躊躇っていたのに。

どうしてこんなに……。


「あぁ…とうとう来ちまったようだな。」


土方さんは冷静だった。

音を立てないように土方さんは立ち上がり、身をかがめる。

アイコンタクトを交わしアタシ達は歩き出した。




「タタタ……タタァン……パァン…!!」


どんどん銃声が近くなる。



「身を伏せて見つからねぇようにしろよ。」


ぐっと土方さんは腰を落とす。

少し背の高い雑草に埋もれて進む。






ピタリと土方さんが立ち止まった。




土方さんの肩越しに見えた世界。





……見たくなかった。


思わず口を抑え目を見開く。

土方さんの肩は動かなかったが周りの空気が冷たく張り詰めていた。






< 269 / 333 >

この作品をシェア

pagetop