破れぬ誓い
「うぅっ・・・近藤さん・・・。」
土方さんは黙ってアタシの横にいる。
「総司・・・帰ってきて・・。」
目の上に腕を置き着物がアタシの涙を吸っていく。
着物はすでに涙で濡れ、吸い取りきれない涙は頬を伝って落ちる。
「会いたいよ・・・。」
心の奥が痛い。
ずっとずっと奥深くが。
「遥・・。」
土方さんがそっとアタシの名前を呼んだ。
「遥。2人はもう・・。」
「わかってます・・。どれだけ呼んでも帰ってこない。もう手の届かないところに・・。」
「2人は、お前が。そんなお前が好きだったのか?」
「・・・ぇ?」
「2人はそんな・・・生きる気力もないような顔をしているお前を愛していたのか?」
生きる気力のない顔。
確かに、今の私はきっと酷い顔をしているはずだ。
「どうなんだよ?」
「それは・・・。」
「2人はお前にそんな顔をして欲しくなかったはずだ。」
「手紙に書いてあったろ。“生きろ”って“幸せになれ”って。」
「今のお前はどうなんだ?“生きようとしている顔”か?“幸せになろうとしている顔”か?」
アタシは思わず頬を触る。
頬は冷たくてまるで死人のような冷たさ。