破れぬ誓い



「いただきます!!」


あちらこちらから聞こえる声にアタシは嬉しくなる。

アタシの料理を喜んでくれる人が居るから。


「遥、飯の後ちょっといいか?部屋に来てくれ。」


不意に土方さんに声をかけられた。


「ぁ、はい。いいですよ。」


それを聞くと土方さんは人ごみの中に消えていった。



「おかわり!」


土方さんの言葉の内容を考える間も無くあちらこちらから空の茶碗が差し出される。


「大盛りですかーー!?」


土方さんのお陰で少し取り戻した笑顔でアタシは答える。




これからは笑顔でいよう。

2人が愛してくれたアタシでいよう。

2人は愛をアタシにくれた。

アタシは2人に愛をあげられたのだろうか。

それだけが心の奥にしこりとして残る。



いなくなってしまった二人には愛をあげたくてもどうしたらいいのかわらかない。


今は精一杯生きて生き抜いて、2人のところに行って怒られないようにしよう。




今はそれだけ。


それしかわからないのだから。



もっと年を取って、物事を広く捉えられるようになったらきっとわかる。


その日まで生きるしかない。







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