破れぬ誓い
「ぇ・・あの・・・うそ?」
「嘘じゃねぇ。」
「もう一回だけ・・・・。」
「馬鹿野郎。俺に恥かかせるつもりか?」
そう言った土方さんは鼻をすすり、頭をガリガリ掻いていた。
少し目の周りを赤くして照れる土方さん。
こんなに照れている土方さんははじめて見た。
「・・・俺が足枷になるのが嫌だったらこのままの関係でいい。」
「俺はいつ死ぬかわからねぇ身だ。俺が死んだ後別の男と一緒になりてぇなら俺は別にこのままの関係を続ける。」
「土方さん・・・。」
「お前が考える本当の幸せを俺は願ってる。それが俺と一緒なる道でなくとも。」
土方さんは少し横を見てアタシから視線をはずした。
その顔は少し切なそうだった。
まるでアタシが断ることを予想しているような顔。
馬鹿だなぁ。
こういうところは鈍感なんだから。
「馬鹿じゃないですか?」
「は?」
「土方さんみたいに言わせると“馬鹿野郎、いつもは頭いいくせにこういうところは馬鹿だな。”」
少しムッとしたような土方さん。
アタシはくすっと笑って土方さんに抱きつく。
「馬鹿ですねぇ。誰が断るんですか。アタシは土方さんと一緒になるのが一番の幸せです。」
土方さんは驚いたようにしていたけれど、すっとアタシの背中に手を回し笑った。
「お前に馬鹿って言われるたぁな。」
「馬鹿ですよ。歳三は。」
「とし・・ぞう?」
名前を呼んだアタシに驚いて目を丸くする土方さん。
「同じ名字になるんです。名字で呼んだらおかしいじゃないですか。それにあなたが名前で呼べって言ったんじゃないですか。」