破れぬ誓い
第四話:誓い
「歳三。」
少し怖い顔をした歳三。
そっと肩に手を置いて顔を覗き込む。
「・・ん。あぁ、どうした?」
「どうした、はこっちの台詞です。そんな怖い顔をしてどうしたんですか?」
「ぁ、いや。なんでもねぇ。」
口に手を当て自分の頬をさする歳三。
そしてまたしかめっ面をする。
「今日の会議はまだ?」
「あぁ。夜中になると思うな。」
「外は・・?」
「まだ、戦っている。負傷者、死傷者がな・・・。」
陣地の裏には多くの墓がある。
しかし、それもごく一部。
一握りの人間の分しかない。
戦いの中で連れ帰られる骸はごく少ない。
酷いものでは骸がないものもある。
新政府軍の勢いが増し、旧幕府軍の士気が下がり始める。
歳三がそれを心配していることくらいアタシにもわかる。
「会議、アタシも出る。」
「お前は寝てろ。」
「料理もないし、いいでしょう。アタシだって新撰組の隊士だったんですから。」
「駄目だ。」
それでもアタシの凄みのある視線に負けたのか歳三は深い溜息をつき承諾した。
「ありがとう。」
いつまでも歳三に任せっきりもいけない。
力になりたくて此処に来たのだから。
戦いに来たのだから。
隅の方に置いてある刀が、嬉しそうになったような気がした。