破れぬ誓い



「子供はねぇ・・・。」

「いなんですか?」

「流石に・・。」

「つわりはないんですか?」

「今のところはないですね。」

「子供はどっちが欲しいですか!?」



「るせぇッッ!!!」


歳三が怒った。

かと思えば少し顔が赤い。

蝋燭の光しかないせいでよくわからないが、なんとなく目の下が赤い。


「っせーよ。さっさと軍議だ。」



「土方さんはどちらが・・?」

「ばーろ。土方は2人いるだろ。」

「あぁ、そうか。」


なんて奥のほうが騒いでいても気にしない。



「勢力図を見ろ。」


その一言で雰囲気が変わった。



「明らかに新政府軍の勢いが増している。」


赤い×印がついている場所は新政府軍の勢力を表している。

黒い×印は旧幕府軍。


明らかにこちらが不利だ。

更には、敵はこちらの何十倍もの銃を持っている。

資料的には不利だ、しかし、戦場は出てみないと勝敗はわからない。



「旧幕府軍の数は一千。新政府軍は一万。」


一気にアタシの希望は絶たれた気がした。


「なっ!土方さん!」


アタシの隣に座っていた男の人が声を荒げる。


「嘘だろ!」

「嘘じゃねぇな。俺がこの間見に行ってきた。圧倒的な数だ。」

「勝ち負けは数じゃねぇ!」


「いいや・・・戦いに必要なのは圧倒的な数だ。」





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