破れぬ誓い



「次の戦いが最後となる。」

「それは捨て身ということなのですか?」

「いいや。最後まで勝つと言う希望は捨てない。」

「じゃぁ・・・?」

「しかし、どう転ぼうと次が最後だ。」



「士気を上げなければ勝つ希望も見えない、変えられる物も変えられん。」

「では、どうやってあげるんですか?」


アタシの問いに歳三はゆっくりと口を開く。

握り締められたアタシの手はもっと強い力で包まれる。



「・・・俺が・・出陣する。」



「なっ!なら、アタシも!!」

「お前の話は後で聞く。だが、次は俺が戦地へ出よう。次の戦いは明日になろう。それぞれ身支度を整えておけ。」



それを聞いた他の人々とはまるで戦いに勝てるかのように喜んでいた。


「土方さんが戦ってくれれば・・・!!」


などと顔に笑みを浮かべるものまで。

アタシは取り残された気がした。

1人だけ取り残された。



「明日は早い。寝ろよ。」


歳三の声を合図に皆出て行った。

残されたのはアタシと歳三。


少しの沈黙の中重い口を開いたのはアタシだった。












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