破れぬ誓い


「遥。」


朝の光が差し込む静かな部屋に歳三の声が聞こえた。

うっすらと閉じていた目を開けるアタシ。


横には歳三の露になった胸があった。

少し顔を上げれば歳三の顔が目に入った。


「んぅ・・?」


まだ目が開ききっていないアタシに口付ける歳三。


「ん・・・ぅ・・・」


ゆっくりと惜しむように互いの唇が離れる。

お互い何も言わない。

だけど、伝わるものがある。

2人にしか伝わらないものが。








「愛してる。」



めったにそんなこと言わない歳三。

まっすぐな瞳がアタシを捕らえる。

自然と手が、指が絡み合いしっかりと繋がる。


あまりにも大きさが違う手。

片手は歳三の左胸に当て、心臓の鼓動を感じる。

左胸に当てた手が感じる素肌の温かさ。


歳三はアタシの髪を愛しそうに撫で、目が笑う。



そのまま歳三の手はアタシを抱きしめ引き寄せた。


隔てる物は何もなくて、ただ歳三の温かい肌がアタシに触れる。


また、一つ口付けが交わされる。



いつまでも、惜しむように。

「離れたくない」

2人を繋ぐ思いはただ一つ。





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