破れぬ誓い



「死ねぇ!!」


正面から声が聞こえる。

すでに振りかざされた刀はアタシに向かって落ちてくる。

アタシは足を右に出し、軸にして回転し、それを避ける。

遠心力を利用し、右手に持った刀で敵の首をかっ裂いた。


声帯と、気管を断たれた敵は悲鳴を上げることなく倒れ、もがく。

その内に動かなくなった。


その目はもう動かない。

空しそうに虚空を眺めている。



鼻の奥に鉄の匂いを感じる。

返り血のせいでもう髪や、服に赤黒い染みがつく。

頬に飛び散った血を袖で拭い更に刀を構える。

いつしかアタシの周りには敵しかいなくなっていた。


あの一瞬の間に、味方はどこへ・・・?


ふと首を回せば足下に転がる無惨な味方の姿。

目にはうっすらと涙の跡があった。



「犬どもめが。」


アタシは敵に向かって吐き捨てた。

血を滴らせた刀をすっと構え、怒りに目を見張る。


「死ねぇぇ!!!!!」


相手がどれだけいようと構わない。


アタシはその中に飛び込んだ。






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