破れぬ誓い
「……やぁ、こんにちは。」
音の正体は1人の女、といっても17,8になったであろうか
そんな彼女が竹刀を振るっている音だった。
彼女は男の挨拶に驚いて身を固くして振り向いた。
彼女は長い紅い髪をして大人のようであったが背の小ささがまだ子供であることを物語っていた。
「こんにちは。」
男はもう一度声を掛ける。
息の上がった彼女は返すわけでもなくただジッと睨み付けるだけだった。
「道場破り?あいにく、門下生はアタシしかいないの。」
「いいや?俺は道場破りなんかじゃない。」
「じゃぁ、何?こんなボロ道場に来るだなんて余程の物好きね。」
「俺は、この道場に興味があったわけじゃない。」
男の言葉に彼女は眉間にしわを寄せる。
「何を言っているのかわからない」というように。
男はそんな彼女の反応をものともせず続ける。
「俺は、君に興味があって来た。」