破れぬ誓い
「どうしてそれを?」
「君くらいに有名になればそんなことあっという間に広まるさ。」
「そう。」
彼女は唇を噛んで男を見る。
いや、男をではなく、過去の記憶を睨み付けるかのように。
「君は攘夷浪士が憎くないのか?」
「今更そんなこと。」
「そうか、でも、君は悪を許せないだろう?」
「それはそうね。」
男は「それなら」と言葉を続ける。
「それなら、俺と来ないか?新選組に入らないか?君ならやっていける。」
「新選組…。」と彼女は呟く。
どうやら男の話を少しずつ信じていったようだ。
「どうだ?俺には君が必要なんだ。」
男の真っ直ぐな眼差しに彼女はかけてみたくなった。
この人なら信じてみてもいいと思った。
それに、攘夷浪士は両親を失った日から憎くてたまらない。
新選組の噂を耳にしたときから入りたいと思っていた。
しかし、自分は女。
諦めていた願いが今このような形として叶おうとしていた。
彼女は心を決めた。