破れぬ誓い
「斉藤さん。」
少し返り血を浴びた斉藤さんは男の死体を見て立っていた。
「ん?」
「いえ。」
斉藤さんの背中が少し寂しそうに見えた気がした。
「辻村よ。人を殺さずに治安を護るというのは難しいものだな。」
寂しそうな笑顔を見せた斉藤さん。
「えぇ。」
アタシは何も言えなかった。
新選組にもこんな人がいたんだ。
総司や土方さんのように斬ることを当たり前のように思っている人間。
それに対し、
斉藤さんのように人を殺しなくない人。
アタシはどちらなのだろう。
アタシはどのようにして此処を護るのだろう。
どちらを当たり前と思うようになるのだろう。
ふとそんなことを考えながらずっと歩いていた。