破れぬ誓い
「遥、いるかい?」
障子越しに声が聞こえた。
その口調と声。
近藤さん?
「近藤さんですか?」
「そうだよ。今日の歓迎会のことでね。」
「歓迎会…。」
あぁ、そうだった。
すっかり忘れていた。
「着物ででるかい?」
着物。
ぁーそう言えばそんなものもあったか。
アタシは小さい頃から女の格好をするのを嫌っていた。
あんな髪を結うなどしたことも無い。
まぁ、もっとも、小さくて自我もなかったときは結われていたらしいけど。
それに着物なんて動きにくいのは着たことも無い。
いつも袴だった。
お陰で周りからは笑われたけどそのたびにやっつけた。
そんな記憶が一瞬アタシの頭をよぎった。