破れぬ誓い
「なぁ?遥は戦っているときに何を考えているんだ?」
周りが稽古を再開し始めた頃総司が聞いた。
「んー。考えたことなかったかも。」
「それにしては綺麗な太刀筋だったな。」
「攻撃されたら防ぐ、相手の隙には仕掛ける。って体が覚えてるだけ。」
「はぁー。それで迷いがないのか。ここにいる連中ってのはどうしても頭で考えるんだよ。それでいつも迷いが生じて危なっかしい。」
「へぇぇ。みんな頭でっかちなんだね。」
とアタシが笑うと総司も笑顔で答える。
「俺、今撃剣指導してんだけどよ。なかなかそこら辺は教えられなくてな。」
「確かにねぇ。アタシ道場で身に付けたわけじゃないからわかんないんだぁ。」
「え?お前親父に教えられたんじゃねぇの?」
「教えられたことはあったけど大抵は喧嘩で身に付けたんだよ。」
「お恥ずかしながら。」と笑うと総司は驚いたような顔をする。
「お前、喧嘩なんてしてたのか?」
「まぁね。お陰で無茶苦茶な戦い方なんだよね。」
「お前って面白ぇな。」
お互いの笑い声が道場に響いた。
なんだかすっきりした。
笑うってすごいことだなぁ。
アタシはそのまま稽古をしている仲間を見ていた。