嘘の無い想い
『映画始まっちゃうよ?まだ仕事してる?』


要点だけのメールが届いたのは、ビールで乾杯した後。

先週末の約束をキャンセルした後、今日の映画を約束した。

観たかった映画が今日で終わる。

水曜はレディスデーでお得だし丁度良い。

そう言って携帯の向こうで頷くのが見えた。


『ごめんな。まだ仕事。明日連絡するから、悪いけどキャンセル。』


メールを送信しながら、一瞬、胸の奥がチクッとした。


「彼女……だったりして?」


ジョッキをテーブルに下ろしながら、夕貴が悪戯っ子のように笑う。


「まーさか。龍だよ。腐れ縁もここまで来たらもう腐んねぇんじゃねぇか?」


「なぁにそれ?」


二人で懐かしい話に笑って飲んで盛り上がった。



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