シェジャン姫の遊戯
プロローグ
時は中世。

西欧の各国では、
その領地を広げようと、

国境のあちらこちらで
日々、小競り合いを繰り返していた。


列強各国の中でも、
安定した軍力で、順調に領土を拡大している国の一つが

アロース王国であった。


その南に隣接する国が
ジュリエナ公国であり、

‘ジュリエナの薔薇’と讃えられる、美しきムーラン王妃は

夫である大公の肖像画の前に立ち、
思い悩んでいた。

王妃の手には、
アロース王国の紋章が入った
金細工の小箱が握られていた。

それこそが、国を揺るがす重大な震源の源であった。


王妃は今、国の命運を定める
大きな決断を迫られていた。


「…どうか、進むべき正しき道をお導き下さい…」


思わず王妃は大公の肖像画の前にひざまずき、

すがるように祈りを捧げた。
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