シェジャン姫の遊戯
その夜の注目は、ムーラン王妃であった。

幾重もの人垣が王妃を取り囲み、誰もが王妃と話したがった。

ベルトワがようやく王妃と二人きりで話せたのは
ラストワルツがかかってからだった。

王妃の手を取り、踊りながらベルトワは囁いた。

「今夜、来てくれないかもとさえ考えたよ」

王妃は優しい微笑みを浮かべて答えた。

「私達、同じ傷を負った、似た者同士だと思いましたの。

一番近しい人を亡くす痛み。

これは経験した者でないと分からない苦しみだわ。」

ここで、王妃は一呼吸置くと

真っ直ぐにベルトワを見つめてこう言った。

「わたくしも、ジュリエナ公国も、
貴方の変わらぬ友情の支えを必要としています」
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