シェジャン姫の遊戯

舞踏会の翌日、ムーラン王妃は慌ただしく、ジュリエナ公国へと旅立った。

城に置いてきた、幼い一人娘、シェジャン姫の様子が、気にかかっていたのだ。

帰路の馬車の中で、ムーラン王妃は、今朝方、ベルトワから受け取った手紙を開いた。


『親愛なる、ムーラン王妃へ

昨夜は素晴らしいひと時を共に過ごせた事に感謝します。

今後も、以前と変わらず貴公国との良き関係が続く事を、我がアロース王国も願っています。

国王 ベルトワ』

簡潔であったが、ジュリエナ公国との同盟の継続の約束が確かにそこに記されてあった。

ムーラン王妃は、この旅が成功であった事を神に感謝した。

そして、王妃は自分が進むべき道が今はっきりと見えた気がした。

悲しみから立ち上がり、ジュリエナ公国に、

再び希望と力強さを取り戻さなけれならない、と
固い決意を誓ったのだった。
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