シェジャン姫の遊戯
王妃はあまり気が進まなかったが、

アロース王国は、ジュリエナ公国の重要な同盟国であり

国王のベルトワは、亡きジュリエナ大公の親友でもあった為、

無下に断る事も出来ず、

王妃は暗鬱たる気持ちを
引きずりながらも出かけていった。

しかし、穏やかな気候と、風光明媚なアロース王国での滞在は、

思いの他、楽しいものであった。

特に、西欧一と讃えられる
設計技師のジャン=ゴーシェの手による

豪奢な宮殿は噂に違わず
素晴らしいものであったし、

宮殿の庭の、
十二神の彫像の噴水からは、
水の芸術が絶え間なく
描き出され、

その見事な美しさに、
王妃は感嘆の声を漏らした。
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