シェジャン姫の遊戯
薔薇園に着くと、

辺りには甘く豊潤な
香りが漂い、

王妃はうっとりと
目を閉じた。

その様子を見ていた
ベルトワは、

近くにいたお付きの者を
そっと呼び寄せると

紫色のバラを
何本か摘むように命じた。

そして、金紗に丁寧に
包まれたバラを、

ベルトワは王妃に静かに
差し出した。

王妃は一瞬驚いたが、
素直にそれを受け取った。

そして、ベルトワは
こうつけ加えた。

「明日の舞踏会で、私とワルツを踊って頂きたい。

もし、この申し出をお受けいただけるのなら、

このバラを一輪、身につけて来て下さい…」
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