天使の唄

「何お前。気持ちワリー」

朝、いつものように彼方と登校していたら突拍子もなく言われた。



気持ち悪いってどこが?何が?



訳が分からなくて動揺する。そしたらさらに嫌そうな顔するし…。わっけわかんない。


「なんか雰囲気が気持ちワリーよ」


「雰囲気って言われてもどうしようもできないんだけど?」


このやり取りの原因は多分昨日の放課後の出来事のせい。あの天使みたいな彼女のせいだ。


あの後二人で一緒に歌ったから。歌うってことが心から楽しいって思えたのは、何ヶ月振りだったかな…?とにかく久しぶりだった。

だから嬉しくて、嬉しくて…そんなに口元緩んでるかな?


昨日のことだし、もうそんなことないと思うんだけどなぁ。


「いいことでもあった?」


まるで心を読んだかのような一言。


もちろんいいことがあった訳なんだけど、彼方に話すのは勿体ないような…。親友だけどコイツに言ったら余計なことしそうで怖いんだよね。
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