サクラリッジ

二十世紀の終わりに

一度目のキスは軽く触れ合うものだった。
二人とも、苦しげに息を荒げている。
三界を輪廻するかのような激しい心情の変化に、私は戸惑った。
四方を囲む熱に押されるように、私は強くビュネを求めていた。

一度唇を離してビュネを見ると、彼女も目を見開いて私を凝視していた。
そしてまた目を閉じ、再び唇を重ねた。
今度は長く、より熱い口づけだった。
漏れる吐息を余さず飲み込むかのように、ゆっくりとかつ力強く吸い込む。
ビュネはビクッと身体を震わせ、私の背中に回した手に力を込めた。
離さぬように、より引き寄せるように、彼女の細い腕はしなやかに背を這った。
次の瞬間、私の唇を割るようにして、彼女の舌が進入した。
それは私の舌に絡み、彼女の息はますます荒くなった。
お返しとばかりに、私も舌をねじ込んだ。
ビュネの口の中を泳ぐようにうごめく舌は、もはや私の一部ではなく、別の生き物のようだった。
彼女の歯の位置を、形を、そして味を、確かめるように慎重に舌を動かし、そして互いに絡める。
背中に電撃が走るような快感に打たれた。
猫背の私の背筋は、ぴんと伸びていたに違いない。
口づけては離れ、離れては口づけを繰り返し、私たちはまた抱き合った。
折れてしまうのではないかと思うくらい細い腰、潤んだ眼、ぬくもり。
すべてがいとおしく感じられた。
お互いの胸の鼓動だけが、音のない部屋にうるさいほどに響いていた。
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