サクラリッジ
2:氷の目

クッククック

電車に揺られ、地下鉄に揺られ、目的地についたのは午後十時を過ぎた頃だった。
外はまだ蒸し暑かったが、幾分か涼しくなっていたように思う。
「おなか空いたね」
つないだ手をぶんぶんと振りながら、ビュネは問いかける。
「何か買っていく?それとも、部屋に何かある?」
「んー、あんまりない。小麦粉と、ウインナーくらいかな」
少し考えてから、ビュネは答えた。
「こ、小麦粉とウインナー?たこ焼きもどきでも作るのかよ」
「うんー。結構おいしいよ」
冗談のつもりで言ったが、どうやら当たりだったようだ。
「や、野菜はないのかな?さすがにそれじゃあ戦えないよ」
「んー、キャベツとたまねぎがある。多分」
多分という心強い返事がきたので、私は迷わずコンビニへ行くことにした。
料理というからには、野菜がないと始まらないだろう。
小麦粉とウインナーで、にせたこ焼きを作るのは堪えられたものじゃない。
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