サクラリッジ
「妹は私と違って病んでないのだ」

彼女はどこか楽しげに、そう言った。
かに玉と名乗る妹とは、本当に仲がよさそうだった。
私にも姉がいるが、とてもこんな関係にはなれそうにない。
姉と仲が悪いというわけではないのだが、彼女らの関係には程遠いと、そう思ったのだ。

しっぽ本人を見ても、妹のかに玉にしても、どこにも問題はないように見えるし、両親との関係も悪くないという。
だが、現実に彼女は病み、妹はそうでないのだというのだから、どこにどんな原因や問題があるものかわからないものだ。
もっと言えば、私にはしっぽが病気には思えなかった。

だから、私はいつものようにバカなことを、変わらずに話し続けた。
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