虹の世界
一瞬にして、イライラしていた気持ちが消え去った。

残ったのは、後悔。


「………ごめ……。さよなら。」


必死に笑って告げられた言葉。











さよなら。











言われた途端、胸の奥が締め付けられた。

あっというまにブルーな気持ちが深くなる。

自分の背中を包む紅い夕焼けに照らされた彼女の涙。

深くなるブルーは、紅い夕焼けと重なり、紫へと落ちていった。










「美羽………ごめん。違うんだ。俺は…」


「瞭くん。ごめんね。」


笑って謝る姿が痛々しくて………。

二人の心に出来た大きな痣が、どんどん広がっていく気がした。

そして広がった痣は、紫色して鈍い痛みを重ね始めた。



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