おにぎり丼。

■真・水色男

海鮮居酒屋ドンは、臭いママのいたポプランのすぐ近くにあった。

徒歩3分くらいの距離だろうか。

こんなところに居酒屋があるなんて知らなかった。

若者が好みそうな、今風の店構えだ。

ドアを開けて中に入ると、威勢の良い声で、「いらっしゃいませ!」と言われた。

小さいながら、洒落た内装で、感じの良い店だ。

まだ7時前なので、店内は空いている。

「すいません。店長はいますか?」

私が言うと、アルバイトらしき店員は、

「はい!喜んで!」

と答えて、厨房に入って行った。




奥から出てきたのは、がっしりした体系の青年だった。

色黒で、感じの良い営業スマイルを浮かべたその男の髪型は、果たして、バーコードハゲだった。


「店長の池乃平です。どういったご用件でしょうか」

「あの……エリコのことで」

私が言うと、男の表情が変わった。

「ちょっと外に出ましょう」

池乃平店長は言った。
< 117 / 202 >

この作品をシェア

pagetop