おにぎり丼。


私は、その遺書を何度も読み返した。

まだ、手の震えがおさまらなかった。


エリコが二郎を殺したと書いてある。

エリコとヨッチーの息子は恋人同士で、ヨッチーは、エリコの犯罪を知りながら息子の幸せを願って、エリコを告発しなかった。

しかし、エリコとの関係がうまくいかなくなり、ヨッチーは悩んでいた。


うまくいかなくなり、というか、私の嫌がらせが主な原因なのだろうか……

とにかく、ヨッチーは悩んでいた。

エリコのことを黙っておくわけにはいかないが、息子に嫌われるのは耐えられない。

ヨッチーは、葛藤の末、死を選んだのだ。


おそらく、これは、ヨッチーの本物の遺書だ。

テプラで作られたオリジナル原稿ではないが、ヨッチーの作成した本来の遺書だと考えられる。


しかし、一体誰がこの遺書を改ざんして、ヨッチーのカバンに入れて店に置いたのだろう。

本物の遺書のコピーがエリコのロッカーに入っていたというのも謎だ。


エリコがしまったのだろうか。

それとも、他の誰かがエリコのロッカーに入れたのだろうか。


私は、キッチンで、姉の帰りを待ちながら、一人でずっと考えていた。
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