おにぎり丼。
「それで、ヨッチーの遺書って言うのは?」

350円のコーヒーを一口飲むと、ヒトシは言った。

「これです」

私は、ヨッチーの遺書のコピーを見せた。


ヒトシは、眉間に皺を寄せながら、遺書を読んだ。


「ひどいな」

一言、そう言った。


「そうなんです。エリコが二郎を殺したなんて」

「ヨッチーの息子とエリコは付き合っていたんだな」

「らしいですね。しかも、その息子さん、今、行方不明らしくて」

「そうなのか」

「はい。由美子さんから電話があって聞きました」

「由美子さんは、夫と息子がいなくなって淋しいだろうな」

「そうですね。生きてる息子のほうは、早く戻ってくると良いです」

「それにしてもなぁ」

「はい?」

「どこで見つけたんだ?これ」

「エリコのロッカーの中です」

「なんでこんなものがあるんだ」

「おかしいですよね」

「そうだな」

「エリコが、自分の犯罪を告発するような文書を店のロッカーにしまっておくなんて」

「何か理由があったんだろうな」
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