おにぎり丼。
その夜。


私は自宅のマンションの前で、一人の男とすれ違った。


ニット帽を深くかぶって、マフラーで顔の半分が隠れていたが、わずかな隙間から、男の表情が憎悪に満ちていることがわかった。



私を睨み付けると、男は小走りで闇に消えていった。

郵便受け中を見て、私は確信した。


今の男が、偽水色男だ。




郵便受けには、いつもの嫌がらせの手紙が入っていた。
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