おにぎり丼。
「またせたな」

「いえ、全然」

「今お茶いれます」

「ああ。すまない」

「とりあえず、座ってください」

「そうだな」

「紅茶で良いですか」

「ああ。で、犯人ってのは誰なんだ?」

「まだ仮定の段階なんですが……。ヒトシはどう思いますか?」

「え?誰が犯人かって」

「そうです」

「村松……じゃないかな」
「そう。私もそう思ったんです」

「やっぱり、あいつ、あやしいよな」

「そうなんです」

「いかにも人を殺しそうな顔だ」

「それを言うなら、ヒトシのほうが悪人面です」

「そうか」

「はい」

「で、村松が犯人なら、どうするんだ」

「ええ。姉が村松さんのところにいるみたいなんです」

「ほう」

「姉が危険な目にあわないように、連れ戻したいんです」

「そうか」

「それで、ヒトシにも協力して欲しいんです」

「協力?」

「車を出して欲しいんです」

「車だけでいいのか」

「はい。とりあえず車だけで大丈夫です」

「村松さんの家に行って、姉を無理にでも連れ出してしまえば、こっちのものです」

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