おにぎり丼。
呼び出して、車に乗せてさ……

最初に言いだしたのはエリコなんだよ。

『何でもするから、誰にも言わないで』

って。

揺するつもりなんてなかったけど、エリコは自ら、僕に10万円の入った封筒を押し

つけてきたんだ。

そんなふうにされたら、僕も調子に乗っちゃうだろ。

たびたび会って、小銭を貰う関係になったよ。

週に2・3回、数千円貰えるだけで、ずいぶん生活が潤ったな。

ブランド物の靴下買ったりさ、エビスビール飲んだり。

バランスの取れた良い関係だったよ。


良い感じで暮らしているのに、いきなり、ヨッチーのやつが変な遺書を書いて死にやがったんだ。


なんで、僕が、ヨッチーの遺書の存在を知ったかって??

それも、本当に、偶然なんだ。


エリコが、ヨッチーに乱暴をされたと聞いて、様子を見に行ったら、ヨッチーが、公園のベンチに座ってさ、テプラで、なにやらカチカチ打ってたんだ。

遺書だったよ。

ちょっと、精神的におかしくなってたんだろうね。

盗み見てみると、ヨッチーがテプラで作成していた遺書は、僕とエリコにとって、まずいものだった。

最初は、死ぬのはよせと、説得を試みたよ。

なかなか、偉いだろう。

でも、どうしても死ぬと言ってきかなかったんだ。

とりあえず、あまり、外で言い争っているのを人に見られたらマズいと思って、僕は、ヨッチーの遺書を奪って、逃げたんだ。
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