おにぎり丼。
20メートル上空にあった観覧車は、すぐに地上に到着してしまった。



「大変申し訳ありませんでした。体調は大丈夫ですか?」

係りのお兄さんにそう言われて、私は、「大丈夫です」と答えた。


私の一つ前のゴンドラに乗っていた子供の具合が悪くなってしまったらしい。

念のためなのか、救急車に運び込まれているところだった。


「救急車も来てるんですね」

私はヒトシに言った。




ヒトシは……


私の隣には、もういなかった。


「ヒトシ?」


気付いた時には、人ごみの中に消えていた。



救急車のサイレンの音と、野次馬の声。

こうこうと輝く観覧車。



ヒトシは行ってしまった。




私は、人の目も気にせずに、その場で泣きじゃくった。











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