おにぎり丼。
第2章 事件

■死

二郎が死んだ。


泥酔して沼に落ちて溺れ死んだそうだ。


店でそのニュースを聞いた時、私は思わず「はぁ!?」っと、大きな声を出してしまった。


「私もびっくりしちゃったんだけどね」

とエリコが言う。


「確かにかなり酔ってたもんね。でもすごいショック」


エリコは真っ赤な目をしている。

さっきまで泣いていたのかもしれない。


「お通夜は今度の金曜だって」

エリコはそう言うと、黙って作業に戻った。

仕事中なので、必死で涙をこらえている様子だ。


村松さんも、ヨッチーも、由美子さんも、暗い顔をして、押し黙って仕事をしていた。


笑顔が大事、と、いつもは口うるさく注意してくる老店長も、今日ばかりは黙っていた。



店が閉店した後、トレンチコートを着た男が二人やってきた。

刑事だ。

昨日の飲み会に参加していた全員の簡単な取り調べが行われた。


事故死にほぼ間違いないということだったので、短時間の本当に簡単な取り調べだった。
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