おにぎり丼。
■はじめての1号店
よく掃除されているが、どことなく薄汚れた印象を与える店内。
特徴のないデザインの椅子とテーブル。
色褪せたメニュー表がレジの上の高い位置に貼られている。
よくあるマイナーなファーストフード店の佇まいだ。
私の面接は、店内の隅のテーブルで行われた。
面接官は、店長の、吉井と名乗る男だった。
年は七十を過ぎたところだろうか。
見事な白髪に、白く長い顎髭をたくわえている。
人の良さそうな老人だ。
入れ歯の調子が悪いのだろうか。
非常に声が聞き取りにくい。
「週四回、入れるかい?」
ふがふが音を交えながら、そう質問する吉井店長に、私は「はい」と元気に答えた。
「元気が良くて非常に結構。飲食店は元気が基本。ファイト一発だ」
「はい」
面接は順調にすすんでいる。
採用は間違いない。
そう思って気がゆるんだ時だった。
「ところで、2号店には行ったことがあるかい?」
「……あ。はい」
全身の毛穴から汗がにじみ出るのを感じた。
顔が熱くなる。
何が感付かれたのかもしれない。そう思った。
特徴のないデザインの椅子とテーブル。
色褪せたメニュー表がレジの上の高い位置に貼られている。
よくあるマイナーなファーストフード店の佇まいだ。
私の面接は、店内の隅のテーブルで行われた。
面接官は、店長の、吉井と名乗る男だった。
年は七十を過ぎたところだろうか。
見事な白髪に、白く長い顎髭をたくわえている。
人の良さそうな老人だ。
入れ歯の調子が悪いのだろうか。
非常に声が聞き取りにくい。
「週四回、入れるかい?」
ふがふが音を交えながら、そう質問する吉井店長に、私は「はい」と元気に答えた。
「元気が良くて非常に結構。飲食店は元気が基本。ファイト一発だ」
「はい」
面接は順調にすすんでいる。
採用は間違いない。
そう思って気がゆるんだ時だった。
「ところで、2号店には行ったことがあるかい?」
「……あ。はい」
全身の毛穴から汗がにじみ出るのを感じた。
顔が熱くなる。
何が感付かれたのかもしれない。そう思った。