おにぎり丼。

■happy new year

年が明けて、お正月。


私は巫女のアルバイトで、慌ただしく過ごしていた。

時給は低いが、14歳の頃から続けているお気に入りの短期バイトだ。

『何それ。コスプレ?』

と姉には馬鹿にされているが、姉は新年フェアで、ねずみの衣裳で店に出ている。
お互い様だ。

それに、どちらかというと姉のほうがコスプレだ。

貧乏暇無し。

世間がお正月ムードで家でくつろいでいる時も、私たち姉妹は働くのだ。


「新年早々で悪いんだけどさあ」

と、姉は切り出した。

さんがにちが終わって、私の短期バイトが一段落した頃だ。

私たち姉妹は、自宅でおもちを食べていた。

姉は遅めの夜ご飯、私は早めの朝ご飯だった。


「もぐもぐ。何?お姉ちゃん」

「みどりちゃん、あのさ、喪服って持ってる?」

「あるよ。黒いスーツで良いんでしょ」

「よかった。助かる」

「もぐもぐ。お葬式?」

「そうなの」

「へえ。誰?」

「店の先輩だった人」

「え。じゃあ若いの?かわいそう」

「先輩って言っても大先輩だから、もう30代」

「それでも、死ぬには若いよね。病気?」

「いや、何かね……」

姉は声をひそめて言った。

「何?」

「殺されたらしいの」

「え~!?」

「ラブホで刺されたらしいよ」


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