おにぎり丼。
「また来たのかい」

ホテルペンギンのフロントのおばちゃんは、呆れたようにそう言った。

さっきの様に、スタッフ用の入り口から中に入れてもらうと、私はカバンの中から写真を取り出した。

おばちゃんは興味深そうに覗き込んできた。

「なんか、土曜ワイド劇場みたいでどきどきするね」

「なんですか、それ」

「火曜サスペンス劇場みたいなものだよ」

おばちゃんはそう言いながら、写真を念入りにチェックしていた。


「この男、来たことありますか?」

私は写真に写るヨッチーを指して言った。

「無いねえ」

おばちゃんは写真を凝視したまま答えた。

「そうですか」

「でも、この人は来たことあるね」

「え」

私は身を乗り出して写真を見た。
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