おにぎり丼。
おばちゃんが指差しているのはエリコだった。

「この子、事件の日に来てたよ」

「エリコが!?」

「じっと顔を見たわけじゃないから、似た人かもしれないけど、多分この子だねえ」

「本当ですか!?」

「男ともめてたから覚えてるよ」

「男?」

「ちょっと言い争いをしてただけだけどねえ」

「どんな感じだったんですか」

「いやあ、ね。女の子のほうが、やっぱりやめたいって言いだしてね。男がなだめてただけだけどね」

「男のほうはどんな人でしたか」

「さあねえ。支払いとかも全部女の子のほうがやってたんだよ。男のほうは全然見てないよ」

「ヒモ?」

「どうだろうかね」


ヨッチーが死に、行きつけの臭いスナックのママが死に、その現場にエリコと謎の男がいた。

偶然とはとても思えない。

「おばちゃんありがとう」
と礼を言って、外に出ようとすると、

「おねえさんだよ」

と、おばちゃんに注意された。


私は自転車を飛ばし、家に帰った。

おそらく明日は筋肉痛だ。

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