おにぎり丼。
「あ。俺は二郎。二郎って言います。よろしくね」


「ジロー?」


「そう。次男の二郎。みどりちゃんは、みどりの日に生まれたからみどりなの?」


「そんなんじゃありません」


「え。じゃあ、お母さんが緑色が好きだったの?」


彼は、もてそうに見えて、案外もてないタイプなのだと思った。

一見格好良いのにうざい。

そんなタイプだ。


二郎青年は、コンビニのおにぎりとヤマザキの甘そうな菓子パンを平らげて、缶コーヒーを飲み終わるまで始終話しっぱなしだった。

自分が某一流大学に名前の通り二浪で入ったことや、長男が買春をして会社をくびになったこと、父親が会社のゴルフコンペで準優勝した日にクマンバチに刺されたこと……
どうでも良い話ばかりだった。


二郎の休憩時間が終わるタイミングで私も休憩室を出ることにした。


「それじゃ、おつかれさま。みどりちゃん、気を付けて帰るんだよ」


「はい。おつかれさまです」
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